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1月4日(土)『BAR森野 オカマバーにゅ いや ☆ミ』

2014/01/0116:34
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ネオン輝く、歓楽街 秋葉原。 そこに佇む怪しげな一軒のバー。 そこは人喰い熊を名乗るオカマ、ベアママが営む、萌えと云う日常に疲れた果てたオタクたちが夜な夜な足を運ぶ酒場であった。

ーーカラン、カランッ

『HAPPY NEW YEAR!!!』

パンッ!

いつもの扉を開けると、威勢のいい声とクラッカーの音に驚いた。

「いらっしゃ い!アンタが今年初めてのお客よ!」


新年早々、僕はまたここに来てしまったわけだが新年初めての客ということで勿論店内には僕以外見当たらなかった。

「さぁさぁ座って座って 」

いつにも増しているきらびやかさに呆然としていると、クラリスが僕の腕をひいてくれた。外は雪が降っていて、頭にも雪が少し積もっていた。それを軽く払って、たまにはビールでいいかしらと渡されるままにグラスを受け取った。

「おっとっと」

溢れそうになるグラスを傾けて、クラリスにお礼を言うとステキな笑顔でウインクしてくれた。

「それでは、今年もどうぞ宜しく、カンパ イ!!」

ベアママの乾杯の音頭で始まった祝宴は、客が僕一人しかいないというのに店内はいつもと相変わらず騒がしかった。

「じゃあ 新年一発カラオケ大会 !!」

「え、カラオケ?ベアママいつそんな設備導入した「まぁまぁ細かいことはいいじゃない、そ れ よ り と っても歌が上手い子が入ったのよ !」


『あの頃は!ハッ!』

恥ずかしそうにカウンターの奥から出てきた子は、いかにも初心者そうな女装姿で、でも顔立ちは可愛く磨けば光りそうな子だった。だけど、それもマイクを持った途端に豹変して和 アキ子の歌を雄々しい声で歌い始めた。その隣でドカベンが合いの手を打っている。彼はしばらく見ないうちに少しばかり見た目がハードになっていた。ママがいうにはゲイに転向したらしいが、オカマバーでそれはアリなのか不明である。

「……何よ顔がちょっと可愛くて若いからってキーッ」

「? クラリス何か言った?」

「あら、ごめんなさい何でもないの……!」

空になっていた僕のグラスを見てクラリスは慌ててお酌をしてくれた。
女の争いを垣間見てしまった気がするが、若くなくても君は十分可愛いのに、とはやっぱり言えない自分が少し情けなかった。今年は言えるだろうか。


「そう言えばレバニラちゃんは?」

「あぁ、あの子は元々根無し草、風来坊だからねぇあれから三ヶ月もしないうちにまた何処かに行っちゃったわよ」


「イリュ ジョ ン !!」

勢い良く扉を開けて北風とともに入って来たのは、噂の当の本人のレバニラだった。

「いや ちょっとブラジルまで行ってたんだけど~~!良い男ぞろいで暑かったわ !それに比べてニッポン寒っ!!何コレ極寒!?雪なんか降ってるしも 飛行機遅れちゃったわよ!!」

「アンタ何しに帰って来たの?」

「何しにってママ、お正月に実家に帰って来て何が悪いのよ !」

「実家ってアンタもアタシもここ実家じゃないでしょ が」

「まぁまぁベアママもレバニラちゃんも今日はお正月なんだから、人は多い方が楽しいわよ♪」

クラリスの仲裁で何となく終わった兄弟喧嘩だったが、どこかホッとしたように微笑んだベアママの顔を僕は見逃さなかった。レバニラちゃんの帰省でさらに騒がしくなった店内で僕も今夜は彼女達の宴にとことん付き合うことにしよう。夜はまだまだこれからなのだから。

(※この物語はフィクションです)。


BAR森野 オカマバーにゅ~いや~☆ミ
日時:1月4日(土)20時~翌5時(L.O4時)
場所:ぴなふぉあラビリント店

(※通常営業との入れ換え時、イベント開始すぐは大変混み合う可能性がありますので、お心とお時間に余裕を持ってお越しください。)

皆様のご来店を心よりお待ちしております。

BAR森野一同


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